コラム

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3月の演奏会:3/24「川瀬賢太郎のローマ三部作」
私の三男が、来春「大学受験」ということで、この1年は演奏会に出かけたり、趣味の遠出は控えますと以前宣言しました。 好きなことをしばらく断つ前に3月は、2回演奏会に出かけてきました。いずれも、半年以上前から待ちに待ったプログラムでしたから。演奏者の魅力、曲目の魅力とも私にとって思いは大きいものでしたし。 3月24日の名古屋フィルハーモニーの市民会館名曲シリーズですが、イタリアの作曲家レスピーギの名曲を名古屋フィルのシェフ(音楽監督)川瀬氏が指揮するもの。これと同じプログラムをその翌日にも東京でも披露するということで、非常に大事な公演ではなかったかと思います。それとともに、名フィルの公式プログラムでは、年度最後の公演でもありました。 以前の市民会館名曲シリーズで、レスピーギのシバの女王という曲を演奏したのですが、その時にローマの三部作を取り上げて欲しいですと、ツイッターに投稿したところ、事務局からの返答がきて、ローマ三部作を聴いていただける機会を用意していますので、お待ちくださいというような返答であったと思います。ようやく念願かなってという感じがしました。しかも、ローマ三部作を全部やってくださると。一度にこの三作を聴けるとは、なんて贅沢なというところでしょう。CDでは、いくつか出ているのですが、実際の演奏会では、一度「ローマの松」の吹奏楽バージョンを聴いただけでした。三作の中では、「ローマの松」が一番人気だからでしょうか。 しかし、私にとっての思い出の曲は、「ローマの祭り」です。中学の時に、吹奏楽コンクールで演奏した曲でした。全曲ではなく、金管楽器が華やかに活躍する冒頭と終曲部分でした。何度レコードプレーヤーでプロの管弦楽演奏を聴いたことでしょうか。技術的には難しい曲であると思うのですが、比較的分かりやすい曲であるように思いました。 さて、「ローマの噴水」から。清らかな水をイメージできる音色が美しい。どちらかというと全般的にはおとなしめな曲なので、観客からの反応は静かな雰囲気。終わり方も、静かだからでしょう。次が、もっとも演奏される「ローマの松」。大編成の管弦楽からの圧倒的な迫力ある音に酔わされる。舞台右側花道のラッパ隊が華々しく、低音が支えている感じもまた素晴らしい。当然のように割れんばかりの拍手がわきあがりました。 休憩後の「ローマの祭り」。これがまた、大変な熱演で、心を揺さぶられた。松に引き続き、祭りの冒頭でもラッパの別動隊が、ファンファーレを吹くのですが、ステージから近い席で、左右からの挟み撃ち的な音響で、ステージ上の管弦楽が消されてしまうかのようなバランスであるほど。川瀬監督は、ゆったりしたテンポの楽章と、リズミカルで躍動的な楽章の対比を見事にコントロールされていて、印象深かった。とりわけ、最終楽章の圧倒的な盛り上がり方でしょう。相当の速いテンポで、踊りながら煽りまくる川瀬監督の指揮に、この曲と川瀬監督の相性の良さを感じさせた。 終演後、長年コンサートマスターを務められた日比さんの引退式のようなセレモニーが。何度も日比さんの雄姿を見てきたので、これから出演されないとなると寂しい気がします。3月は、別れの季節というのを感じられますね。日比さんとともに観客も一緒に写真を撮りましょうということで、立って写真撮影に加われたのは思い出になりました。最後まで癒し系キャラの日比さんだなあと思えました。 名フィル演奏会は、この1年で6回行ったかな。やはり、プロの演奏を近くで聴けるのは気持ちいい。次、名フィルを聴けるのは1年後になるのか、まあ、それまではCDなどで我慢かな。
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「ゴジラ—1.0」は、神映画(ネタバレ注意)
まずは、ゴジラ最新作「ゴジラ-1.0」から。この映画は、11月3日から公開しているので、普通の出来ならば、とっくに公開は終了してるのでしょうけれど、アメリカでの「アカデミー賞視覚効果賞」を受賞したことから、改めて見たいという人も多かったのではないでしょうか。私は、他の映画を見ているときに予告編で、神木くんが主役の映画ということで、ぜひ観たいと思ったのでしたが、なんかタイミングが合わずに、観に行っていませんでした。ようやく3月の初旬に行く機会があって、観ました。3週間経った今でも、また観たいと感じさせてくれる超オススメ映画です。実は、スクリーンで観るゴジラは、初めて。前回観たのは、シン・ゴジラでしたが、これも鳥肌が立ちましたが、スクリーンではなくて、日本のアカデミー賞の表彰の後で、iPadで観たのです。さすがに、アカデミー賞を総なめしただけの出来栄えであったと思えました。同時期に公開されていたアニメ映画「君の名は。」ばかり関心興味があって、シン・ゴジラ?、ゴジラなんて観るか!って感じでした。単なる怪獣映画でしょってね。とんでもなかったですね、日本の頭脳が必死にゴジラ制圧を試みるというもの、政治的風刺、政治の無力さ、弱点をさらけ出すものでもあったと思うし、昭和ぽい雰囲気の音楽も良かった。緊迫感がすごい、あの速いテンポ感、一度では何を言っているのかわからないというのが印象的でした。多くの官僚たちが、「日本人の誇り」にかけて必死にゴジラに戦いを挑むところに胸が熱くなりました。 ところが、今作のゴジラは、シン・ゴジラをはるかに上回る感動を覚えたものでしたし、大泣きでした。これは、私がきっと泥臭い人間ドラマが好きだからかもしれません。シン・ゴジラとゴジラ—1.0は、ともにゴジラが人間の住処を荒らしまわるということで共通してますが、ゴジラ—1.0は、戦争から帰還したやや優男の主人公の人間的な成長をも描いている点、男女の愛情、親子の愛情も十分に描かれている人間臭さがまたいいなあと。 いや、臭い人間ドラマはいいんだという人にもおすすめですよ。ゴジラが、人をくわえて投げ飛ばすシーンの迫力、ゴジラの足音の重低音で、圧倒的な重みのある音、ゴジラの動きは、まさに観客を恐怖のどん底に陥れるものがありました。町の破壊シーンや、破壊による爆風で吹き飛ばされる人びと。とてもリアルな動きです。実写でなくて、CGであるようですが、そう思えないです。 舞台が、戦後間もない荒廃した日本では、政府も機能してくれないので、民間の義勇兵でゴジラに立ち向かうといった設定も面白いところですね。山崎貴監督は、シン・ゴジラと真っ向から勝負するのではなく、正反対を行くと言っていますが、まさにその通りで、ゴジラとの主戦場が海になっているのです。陸を主戦場としたシン・ゴジラと対照的です。 山崎貴監督の作品を思い起こさせるものが、かなり盛り込んであるのも特徴なのでしょう。「永遠のゼロ」を思い起こさせる飛行機の取り扱い、特攻隊の中での「臆病者」扱いされた主人公のエピソード。「三丁目の夕日」に出てきそうな、電車、建物群、人々の衣裳も興味深いものです。「アルキメデスの対戦」で登場してきた戦艦などもスケールの大きさを感じさせてくれました。 エンディングが、まさにハッピーエンドでいいのです。「人間ドラマ」「ゴジラの大迫力」の絶妙な融合具合が、一番良かったところだろうかなあと思っています。Youtubeで山崎貴監督が気取らずに、本当に楽しそうに映画制作を笑顔で語られる姿を観ましたが、次回もゴジラは、山崎監督に作ってもらいたいという気持ちが湧いてきました。 まだご覧になっておられない方、大スクリーンでぜひ「ゴジラ—1.0」観てください。
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会計ソフトは「クラウド対応型」にしよう!
「クラウド」を利用してデータをやり取りするとか、データを保管するということが多くなってきました。 ある老舗税務会計ベンダーの営業マンは、15年ほど前に、「事務所外にデータを保管するなんてありえない」、「事務所データは、絶対に自社内のサーバで保管した方が良い」と言っていましたが、その常識が崩れ去りました。今や「クラウド」の利便性に疑義を唱える人の方は少ないでしょう。自分のパソコンにはデータを残さないことは、セキュリティ上、大変安全です。ノートパソコンを外に持ち出して使うという場合はさらにデータ保管に気を使わなければなりません。インターネットに接続し、自社サーバーにデータを閲覧するというのは可能ですが、安全を確保するのにコストがかかってきます。これに対して、クラウドに保存したデータを活用する方が、今や手軽であると思えます。 とりわけ、会計ソフトは、そのパソコンだけで使わずに、他のパソコンから、あるいは出張先からでも、そのデータを閲覧し、入力できる方が便利だと思われるようになりました。インターネット接続しながら、業務をやるのは全く当然の時代になっています。会計ソフトでも「ネット接続は当然」で、社内LANのみで業務を行うのが非効率であることが認識されつつあります。 20年前だと、会計ソフトは購入し、ソフトまたはアプリケーションをパソコンにインストールして使うのが当たり前でした。ソフトは、光ディスクで提供されました。それが、徐々にソフトのバージョンアップはネット接続によるダウンロードへ変化していきました。しかし、しばらくの間はデータは「パソコンのハードディスク」内、「社内ネットワーク内のサーバー」の中に保存でした。このような場合ですと、データの持ち運びのための『ツール』が必要です。今では、その『ツール』はUSBメモリが一般的ですが、CDであったり、MOであったり、私が税理士事務所に勤務し始めた頃だと、フロッピーディスクでした。記憶容量も少なく、読み書きの速度も遅い媒体でした。USBメモリへの保存、持ち運びというのは、まだ便利になり良いのですが、データを持ち運ばなければならない点で、不便であり、安全性の観点からも問題点があるように感じます。データを「メールで送る」という手もありますが、これまたメールソフトを立ち上げて、データをソフトに入れるという手間もありますので、手間は大きく減りませんね。 その点、クラウドであると画期的です。データを全く移動させなくてよいですし、同じデータを同時に見ながら会話することが可能です。税理士事務所に会計を指導してもらうのならば、「クラウド技術を用いた会計ソフト」は、最適です。クラウドによる会計ソフトについては、10年前くらいから目を付けてきました。顧問先様にも数多く導入してきました。おおむね好評です。 良い点小野については、1,データの持ち運びが不要 2.災害に強いデータバックアップ 3.アプリ方式でない場合は、バージョンアップが不要 4.複数人での同時入力、同時閲覧が可能 というメリットはありますが、不満なところで言うと、動きがゆったりしていて、高速入力には適さないことでしょうか。クラウド会計ソフトの著名メーカーについて、残念なところが多いのです。とても税理士事務所が使う代物ではないというのが、私のイメージです。税理士事務所の業務を知って作っていたA社が、F社に吸収されてしまった以上、新興ソフトメーカーでは、会計事務所の代表として信頼できるものはなくなってしまいました。 伝統と歴史ある実績豊富なTKCは、ネット技術に長けているので、クラウドには大変力を入れているのが有難いことであると思います。時代の波、潮流をよく読んでいるTKCの製品ならば、お客様にお勧めできると思っています。
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北陸新幹線延伸で敦賀まで開通のニュースに思う
喜ばしいニュースと言っていいのでしょう。石川県金沢市でとまっていた北陸新幹線が福井県敦賀市まで延伸されました。福井県の方々からすると、新幹線だけで東京まで行くことができて便利になったと思うのでしょうか。それに、東京からの観光客が呼び込めるから、これはいいチャンスと思うのでしょうか。「岐阜新聞」3月17日版は、この延伸をホームにあふれるほどの人々が熱烈に歓迎している写真を1面に掲載していました。 福井県というと、お隣の県ということで、岐阜の人も多少は関心をもって迎えていると思います。ただ、「新幹線」によって近くになったという気はしません。在来線の特急が縮小されてしまったからです。北陸の有名な温泉郷、金沢、福井などに行くのに使われていた特急しらさぎが、その手前である北陸新幹線の終着駅の敦賀どまりとなってしまうのです。その先は、北陸新幹線利用であると。指定席特急料金の割高なこと。3290円ですよ、大垣から福井までが。所要時間1時間40分程度です。乗り換えがあるというのもマイナス要素でもあります。 地方の新幹線となると、既存の在来線が思い切りカットされてしまうというのが、残念なところですね。鉄道会社に言わせれば、高い料金を払ってもらえる東京からの観光客を輸送するのが、効率が良いということでしょうか。 東海地方から北陸への旅というと「しらさぎ」が定番であったのが、鉄道利用は少なくなるのではないかというように予想しますね。名古屋駅から数多くの高速バス路線が出ていますが、そちらを利用する人が多くなるのではないでしょうか。安くて、乗り換えも不要で、乗り降りもしやすいバスは利便性高いです。 ビジネスマンの出張では、鉄道だと思いますが、そもそも東海地方だと車で移動する人が多いですから、鉄道をやめて、会社の車で行くことにするというケースも増えるかもしれませんね。 そうすると、昨年揖斐川町と福井県の県境に開通した冠山峠道路が活躍することになるのではないでしょうか。さすがに定期バスは難しいとは思いますけれど。 私は、早く「リニア中央新幹線」を開通させていただきたいと思っています。名古屋から品川が1時間切るなんてすごいことじゃないですか!あっという間に東京という時代が早く来てくれることに期待しています。
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毎年一度の決算が、ギリギリでいいわけがない!
毎年一度必ずやってくるもの、それは個人であるならば、「誕生日」と言われることもありましょう。夫婦円満なご家庭ならば「結婚記念日」ということになるでしょうか。 税理士事務所の場合、毎年一度必ずやるというと、「決算と申告」があります。また、個人の確定申告でしょうか。会社の決算や個人事業主さんの決算が終わり、「決算報告会」を設ける時間をお客様には作っていただいています。 お客様には、年々社業が発展していっていただきたいと思っています。そのためには、まず現状を的確に把握することです。当期の売上はなぜ増えたのか、売上が、低迷しているのはなぜか、売上が減っているのはなぜなのか、その変化の要因がどこにあるのか振り返ります。「現状の売上をみると、どこが課題として浮かび上がっているのか」を考えていただくことです。 それに対して、どんな手を打っていくのかを」考えなければなりません。その一手は、年々変わっていくものではないでしょうか。やはり、事業環境は、年々変化していきます。担い手も変化し、技術も変化していくのですから、同じことをやり続けて、成功し続けるのは無理であると私は思います。 スタッフにも私は言っています。毎年来る決算申告で、同じことに終始せず、お客様に関して、何か新しいご提案ができるように、アンテナを張る、勉強し続けるということを意識して欲しいと。 今日は、確定申告期限ですね。さらに消費税の申告については、3月31日までとなっているのですが、こんなに遅くに提出するのは、全くお勧めできません。すでに、12月末日から2ヶ月半ですよね。それなのに、まだ5年の出来事をやっているのですか?スタートダッシュできていないということになりませんかね。 経理は、他人任せにせず、自分で処理することが大事であり、タイムリーに業績を把握するというのは、競争に打ち勝つことにもつながっていくのではないでしょうか。「継続して、正しく記帳し」、正しい決算書を作成するお手伝いを私たちはしています。 タイムリーで適正な「会計」は、会社を強くします。経理を軽視した会社は長続きしません。皆様の企業発展のお手伝いをさせていただきますので、よろしくお願い致します。
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金融機関から新規借入する時、まず考慮すべきは?
税理士は、税金と会計及び会社に関して一部法律の専門家であるとともに、「経営」に関するアドバイザーとしての仕事をしています。 経営のポイントとしては、「資金」をうまく回す、もうけを生む、「投下資本」をより大きくさせるということが考えられます。「資金」をうまく回すために、すなわち資金繰りよい経営をするために、苦心されている経営者はとても多く感じます。その原因は、借入しすぎていることにあるように思えます。借入については、返済計画に従って、金融機関との約束通りに返済していかなければなりません。貸しますよという金融機関の甘い言葉に乗って融資を受けてしまって、返済困難に陥ってしまうことも多いのです。高金利で貸している業者が、「ご利用は計画的に」というメッセージを宣伝していますが、高金利とは言えなくても、いずれ返済をしていく必要がある借入金です。慎重に、計画を立てて借りていただきたいものです。 まず第一点、「何のために借りる」のでしょうか?これを明確にしましょう。事業の「設備資金」としてでしょうか。短期的に「運転資金」が不足するから、その補填を目的とするものでしょうか。それとも、資金不足を補填するためでしょうか。 大いに売り上げ拡大→利益増大が見込めるのであれば、資金調達の一手法として新規借入もありえます。ただし、資金不足補填のためという目的では、借入は最後の手段として、万策が尽きた時の手法と考えるべきだと思っています。 資金補填ということならば、次のことを実行してみましょう。 1.必要以上に在庫をかかえていませんか?適正在庫の水準を見直しましょう。適正在庫水準になるまで、仕入れをストップする、営業努力をすることです。 2.売掛金の回収について、回収が進んでいないものはありませんか?回収努力をしていきましょう。 3.加入する生命保険などで、契約者借入を利用できるものはありませんか?比較的早く、資金調達をさせてくれますので、一時的な資金調達ということならば、利息も大きくないので勧められます。 4.活用率の低い固定資産はありませんか?売却可能であれば、売却によって資金を作りましょう。 5.支払いを延期してもらうことが可能なものがあれば、お願いしてみましょう。もちろん、数次の支払い延期は、取引先の信頼を損ねるものであるので、できるだけ避けるべきです。 上記の手段とともに、不必要な支出をしていないかを確認することも同時に行うことでしょう。 基本的には、企業規模を大きくするのに、借入を利用するということです。利益の積み上げ分、つまり自己資金だけでは、「投資の好機」を逃してしまうという場合であります。 なお、私は原則として、「投資用不動産」などを金融機関から借入することによって購入することは勧めません。国内に限れば、日本の総人口は右肩下がりであり、土地が大きく値上がりすることは考えにくいからです。新築建物も、中古となれば、評価は大きく下がります。不動産投資で、その時価が大きく下がってしまい、売るに売れなくなったという話はよく聞きます。 金融機関から多額に借入する前に、財務の専門家でもあり、金融機関からも独立した第三者である税理士にも相談しましょう!
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名フィルを称賛する
東海地区で最も歴史ある管弦楽団であり、著名なオーケストラと言うと間違いなく名古屋フィルハーモニー交響楽団(名フィル)でしょう。このオーケストラの技量がとてつもなくすごいということは、やはりないのかなあと思います。昨年聴いたチェコ・フィルやドレスデンと比較すると、音だけではなく、その見た目の華やかさも圧倒的に違う感じがいたします。地元の最も聴いているオーケストラですから、負けてほしくはないのです。しかし、いかんせん西洋音楽が日本に伝わってきて150年程度ということもあるからでしょう。日常的にクラシック音楽に接する機会があり、さらには3倍以上の歴史もある欧州とは全く環境が違うということなのでしょう。 しかし、我が地方のオーケストラの雄である名フィルです。非常に先進的な取り組みをされ、チラシや演奏会プログラムのデザインセンスも良いと思っています。私にとっては愛する「我が地方の名門オーケストラ」です。 まず、音楽監督に選ばれた川瀬賢太郎氏が好きです。まだ40歳そこそこの年齢で、今後がとても楽しみです。2月定期演奏会は、彼が指揮をしましたが、全演奏曲が、日本人作曲の作品が演奏されました。今まで聴いてきた演奏会では、プログラムのほんの一部にしか日本人の作品は取り上げられず、全く日本人の作品なしというのもまた当然という感じでした。いかにも挑戦的ではないでしょうか。2月の平日夜ということもあってか、市民会館の音響が嫌いという方が多いからか分かりませんが、お客様の入りが芳しくなかったのですが、勇気あるプログラムをやってのけた川瀬監督に敬意を表します。プログラム最後が、外山雄三さんの「管弦楽のためのラプソディ」であったのですが、名フィルが奏でる八木節に合わせて指揮の川瀬さんは、ダンスするかのような指揮をされたり、その前の部分では、尺八をほうふつさせるフルート奏者富久田さんの独奏が印象深く、拍子木の華々しくけたたましい音で始まる冒頭部は、賑やかな日本の祭りを想起させてくれました。こんな日本独特のムードがある曲が世界でも取り上げられるといいがなあと感じさせてくれました。 外山雄三氏は、名フィル草創期の指揮者でもありました。よくテレビでは、外山さんをお見掛けしたと思います。彼の代表作である「管弦楽のためのラプソディ」は、長く愛され続ける日本人作品になるでしょう。できれば、東ヨーロッパのコダーイ、バルトークの作品とも並び称されるようになってほしい作品です。 また、この日の演奏会でのスペシャルゲストは、ピアノ独奏に、作曲もされる小曽根真氏でしょう。「もがみ」と題されたピアノ協奏曲、日本的風情もたっぷり漂わせながら、小曽根氏お得意のジャズの要素も含まれていて、打楽器も数多く、電子オルガンも用いて、大変現代的でもあって。かといって、その形式、音の雰囲気は、フランスの作曲家ラヴェルの協奏曲にも似ていたんです。まさに、和洋ジャンルごちゃまぜ感がある作品。お名前は、たびたび見かけていましたが、やはり素晴らしい音楽家と言えると思います。こうしたすごい音楽家に出会えるきっかけを多く提供してくれるのが、名フィルの定期演奏会ですね。 川瀬監督は、次の4月から始まる新シーズンプログラムにおいて、市民会館のシリーズは、「和洋混交」と題して、毎回の演奏会で、日本人作品を取り上げてくれるようです。以前からも監督は日本人作品を意欲的に取り上げて演奏していましたが、いよいよ川瀬カラーをより強く発揮してきた感じがしますね。 大いに満足して、帰路につく私ですが、座席に帽子を忘れてしまったことに気が付きました。そのことを、会場の係りの方に言うと、「席の位置を確認しますので、チケットを見せてください」と言われました。チケットを差し出すと、会場に探しに行ってくださり、帽子を見つけてくださいました。さほど待たなかったと思います。迅速に対応していただけたスタッフに感謝でした。 帰り際に、大勢のスタッフの方々が、能登半島地震への義援金を呼び掛けていました。こんないい音楽を心地よい気持ちで聴けて「感謝の気持ち」をもって、寄付をさせていただきました。東日本大震災の際には、指揮者である小林研一郎さんが、募金をよびかけていらして、募金をさせていただくと、「いつもの満面の笑み」をもってお礼を言われたのを記憶しています。音楽は、心を浄化させてくれます。能登半島地震で、被災された方々に早くいつもの日常生活が戻ってくることをお祈り申し上げます。
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追悼、小澤征爾さん
クラシック音楽界に大きな業績を残された小澤征爾さんが亡くなられた。ずっと指揮台に立たれない状態であり、85歳も過ぎておられたので、その死は覚悟はしていました。クラシック音楽LPを購入し始めた時というと、中学校の頃でした。そのLPの中に小澤征爾さんの指揮というのは、数多くはなかったように思います。ボストン交響楽団を指揮したマーラー作曲交響曲第1番、これが私と小澤さんの奏でる音楽との初めての出会いでありました。すでに日本でも名声は大きくなってました。第一楽章の瑞々しい雰囲気、第四楽章の大迫力、マーラーの交響曲の魅力に触れた初めてのアルバムでした。アメリカのメジャー管弦楽団のボストン交響楽団音楽監督にまで抜擢されたことに誇らしく思ったものでした。ボストン交響楽団との録音は、数多く出され、高校生まではLPを通して小澤さんの音楽に触れ、大学からはCDを通じて小澤さんの音楽を味わいました。 ボストン交響楽団のあとは、ウィーン国立歌劇場の音楽監督も歴任されておられました。歌劇場の音楽監督就任前に、長野県松本市で、音楽祭を立ち上げられ、国内外の精鋭となった斎藤秀雄氏の指導を受けた音楽家が一堂に会してオーケストラ演奏会、オペラ公演を中心に行う松本市の夏の風物詩として定着してきたようでした。その松本での「サイトウキネンフェスティバル」を知ったのは、松本の音楽祭が開始されて20年近く経ってからでした。 夏の終わりに訪れる松本は、カラッとした空気感があって、過ごしやすいところであるなあと感じたものです。そして、オペラの公演があるまつもと市民芸術館の優雅な雰囲気、ゆるやかにのぼっていくレッドカーペットの幅広のメイン通路、劇場空間の美しさとすべてにおいて美しさにあふれ、超一流の芸術に触れるにふさわしい空間でした。大都市でもない松本という地方の一都市で、こんなに素晴らしい劇場を持てるのはすごいと思わされました。松本の地で、小澤さんが指揮されるオペラ3公演、声楽付きの管弦楽作品1公演の4公演を鑑賞できたのは大変幸せなことでした。 チャイコフスキー作曲「スペードの女王」、ヤナーチェク作曲「利口な女狐の物語」、リヒャルト・シュトラウス作曲「サロメ」、ブリテン作曲「戦争レクイエム」といずれも超一流の歌手を集め、日本でも最高峰の合唱団が出演し、児童合唱は、オーディションで選ばれた児童が出演していたのですが、国際音楽祭にふさわしい音楽、舞台と言えました。 オペラですと、指揮者は一段下の位置から指揮するため、あまり小澤さんの指揮をじっくり見られる感じではないのです。しかし、最後に鑑賞した戦争レクイエムは、通常の指揮台からの指揮でした。ですから、小澤さんの後姿をじっくりと見つつ聴かせていただきました。とても難解な音楽ではありますが、いつものように譜面を頭に入れて、暗譜で指揮される小澤さんの姿がありました。若いころの指揮棒を持った姿でなく、指揮棒を持たずに、手だけで指揮されるそのころの小澤さんの姿でした。さほど近い席ではなかったので、十分に指揮される表情は、分からなかったのですが、「レクイエム」ということで、静かに終わっていくエンディングに、まさに戦争で犠牲になった人々を悼む姿を見る思いがしました。小澤さんが、最後の音を切って音がすーっとホールに消えていったのですが、小澤さんは、手をおろさずに無音が十秒程度はあったように思われました。その「静粛さ、厳粛な空間」もまた印象的であり、今でもその瞬間の記憶は残っています。そのあと、作曲者自身のブリテン指揮による戦争レクイエムを聴いて、車で帰ったことを記憶しています。 調べてみると2009年のことであったようですね。今から15年も前でしたか。私が、まだ代表就任前の頃でしたか。現在は、セイジオザワ松本フェスティバルと名前を変えて行われていましたが、これからも、ずっと長く小澤さんの名前を冠した音楽祭が続いていくことを願っております。そう、小澤さんに影響を受け、小澤さんが評価した音楽家が後を継いでいただけますように。再び、松本の夏に、一流の音楽を一流の会場で味わえることを楽しみにしています。