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名フィル新時代幕開けに立ち会う!

オーケストラの定期演奏会の区切りも3月であるようで、4月より新たなシーズンが始まります。名古屋フィルハーモニー交響楽団も4おい月から昨年度までの大ベテランで熟成された感の強い小泉和裕音楽監督から、フレッシュな若手指揮者(まだ30歳代!)の川瀬賢太郎音楽監督にバトンタッチして初めて迎える定期演奏会でありました。小泉監督の安心感安定感も良かったのですが、川瀬新監督は、より特徴のはっきりした指揮者という印象で、新しい時代を迎える感じになったと思います。川瀬監督は、名フィルとの関係がすでに12年にもなり、数多くの共演を重ねてきていたので、この音楽監督がどんな音楽を紡いでいくのだろうかという不安感、ドキドキ感はありませんでした。私も4回ほどは、川瀬氏の指揮の公演は観てきているので、川瀬監督の指揮はそれなりに見慣れています。

定期演奏会は、ある1つのテーマを持ってプログラムされているのですが、今年度は「継承」というのがテーマということ。第1回目の4月7,8日の演奏会では新音楽監督である川瀬氏の就任記念であり「継承者」というタイトルが付されていました。新音楽監督の元、名フィルの音楽づくりがより深化し、演奏技術が向上していくことを期待したいですね。今回の演奏会スポンサー矢作建設となって雄いましたが、大企業が芸術を支えるという取り組み素晴らしいと思います。人間の心の癒しとなる芸術に対する公的な助成も必要ですが、財政的に芸術には資金を回すことも難しいでしょうからね。

4月の演奏会は、「ハイドン」と「マーラー」の交響曲。前年が、シンフォニストシリーズですから、それを引き継いでということもありましょうか。前回の市民会館シリーズ最後もベートーヴェンの2曲の交響曲は小泉監督指揮でしたから、2曲の交響曲ということで、承継したといううまい具合なのでしょうか。「ハイドン」「マーラー」ともに交響曲の作曲家というイメージがあります。ところが、視覚的には前半のハイドンのこじんまりとした編成から後半の金管楽器がずらりと最後尾に並んで、前方がステージからあふれ出しそうなくらいつめこまれたマーラーのステージで、いかにも対照的です。もちろん、聴覚的にも小編成の曲と大編成の曲では大いに違っていて、打楽器金管楽器の出番の多いマーラーの第5交響曲は、音のダイナミズムに驚かされます。マーラーの第5交響曲は、冒頭にトランペットのソロがあり、緊迫した空気感がありますし、ホルンは第3楽章に大活躍する場面がありますが、今回の演奏会では金管奏者の安定した音色が実に素晴らしく、頼もしく感じました。一昔前の金管奏者と比較すると大きく技術が向上しています。そして有名な第4楽章アダージェットは、弦楽器とハープが美しく、天にも昇られてくれるような雰囲気を醸し出してくれました。川瀬新監督は、各楽器の性能をうまく引き出していたように思いますし、川瀬氏の持ち味である中間楽章の舞曲の見事さはそのままでありました。

今回の座席は2階席のほぼ真ん中であったのですが、土曜の午後ということがあってか、私より年配の老紳士が、多いのに驚きました。同じ列は、すべて年配の男性でした。そして足が不自由に見える人が多いのですね。そう、コンサートで音楽を楽しむのは足や手に悪いところがあっても問題ないのです。名フィルさんが、「敬老割引」「障害割引」というのを行っていることもあってのことでしょうか。クラシック音楽は世界を平穏に安らかに癒してくれるものです。今回のハイドンの交響曲は、240年近く前にできたもの、マーラーのは120年前に完成したものと、いずれも長い歴史がある曲です。長い歴史を経て、いまだに演奏されているものは、やはりそれだけの価値があるということだと思うのです。そのクラシック音楽をいかに若手音楽家が「新しい風」を吹き込んでいくのかということも大変興味深く注視していきたいという思いです。