税理士や公認会計士がAIにとってかわられるというようなことが言われていますが、とんでもないことだと私は思っています。
税理士の仕事は、税法に関する知識、会計に関する知識は当然なのですが、持ち合わせていなければならない資質として最も重視するべきは、
会話力、よく言われるコミュニケーション能力であると思います。お客様の言われる言葉を正確に聞き取る能力、お客様の表情を感じ取って、それをも考慮に入れつつ説明する能力が要求されています。できれば、それが瞬時にできるといいのですが、そのような力は、経験を通して身に着けていくものではないかと思えます。何が問題になっているのかをできるだけ速く正確にとらえて、お客様にお伝えすることです。
この時期は、多くの個人の確定申告の相談を受けるのですが、毎年決まったようにお持ちいただく方については、そのお客様をよく知っているのですが、一見さんであると、その方の情報についてゼロから収集することになります。本当に、数多くの質問を投げかけることになります。それを嫌味なく聞いていくというのが大事になりますよね。AIにいろいろ質問されるなら嫌になるのではないですか?そうです、血の通った生身の人間であるから、そこに信頼が生まれるのではないでしょうか。
映像判定を導入されて野球、サッカーが変わりました。審判の負担は減ったのではないでしょうか。AIは、数字を読み取るということは、とてもたけていると思います。計算ミスも当然しません。そんなことを考えるならば、AIの良いところを人間が利用するのが正しい在り方だと思います。勘定の機微を感じられないAIでは、全面的に信頼をおくことができる存在になりえません。
私たち税理士は、真に納税者の期待に応えるべく、普段からその資質に磨きをかけて、知識を共有するべきです。そう、「税金は1円たりと多く支払わせてはいけないし、納めたりないのもいけない」という言葉をTKC創始者飯塚毅さんが残したそうですが、まさにその通りで、税理士に相談して、正しい申告ができた、安心できたと言っていただけるがわれわれの報酬のうちの一つでもあります。