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名古屋御園座で歌舞伎鑑賞

御園座というと、名古屋の舞台芸術の殿堂的な場所、聖地のように感じます。一度近くを通り、新しくなった御園座は近代的でいいなあと感じていました。観劇で入場できたらなあと。ようやく先週、名古屋で開催入場してきました。クラシック音楽のホールは何度か入場して慣れているのですが、御園座は初めてでした。御園座のご近所は、いい雰囲気で、御園座の今月の目玉である「市川團十郎襲名披露」を盛り上げるべくのぼりを作って掲げられていました。収容人員の多いイベントを意識しつつ商店街が工夫しているところはとても好感が持てます。また、建物の外観も洒落た装いで演出されていて、帰りに一杯飲んでいこうかという気持ちにさせてくれます。かくいう私は、残念ながらお酒はほとんど飲めない下戸ですが、ワイン1杯、ビール1杯くらい飲んで、観劇の余韻に浸りながら帰路に付けたら、しれは気持ちいいいだろうなあと思わせてくれるような庶民的なお店が軒を連ねています。

さて、御園座の内部、入り口から客席までがすごく近くにあって、移動距離が短くていいと思われるのですが、逆に言うと、休憩時間や終演後がごった返すのではないかと思われました。お土産物屋さんは、弁当を買い求める客で混雑し、行列になっていました。私たちは、すでにお弁当を予約していたので、さほど並ぶ必要はなかったようなのですが、「予約の方はこちらです」という呼びかけがなくて、長い行列に並んでしまいました。うーん、もう少し配慮が欲しいものです。予約客向けの弁当はすでに紙袋に入れられて、すぐに持って行けるようになっていたので、開演時刻に間に合わなくなったわけではありませんが、余裕がなくなってしまいました。

座席は、朱色で統一されていて、クッションが置かれていました。クッションが置いてある劇場って初めてでしたが、これがなかなか良かったのです。腰や尻が痛くならないソフトな座り心地なのです。今回は、夫婦での観劇でした。1階席で、左寄りの席であったのですが、座席の幅が広く、前後の間隔もさほど窮屈ではありませんでした。

さて、肝心の歌舞伎。夫婦で歌舞伎見物は今回二度目。珍しく二人の意見が合って歌舞伎を鑑賞に行ったのですが、いつも思うのですが、本当に贅沢な楽しみであると思います。役者さんの演技、セリフの言い回し、舞いも素晴らしいのですが、私は歌舞伎についてくる音楽も魅力的に思います。最初の演目の唄と三味線の見事さ、鼓の歯切れのよい音、能管の耳をつんざくような高音と。クラシック音楽もいいけれど、歌舞伎の音も実にいいのです。ドラマチックであると思います。そして、豪華な舞台演出、美しい背景を製作するのも時間がかかるだろうなあと思わされます。

今回のメインは、なんといっても海老蔵さん改め團十郎さんの勧進帳での「弁慶」でしょう。圧倒的な存在感のある弁慶を演じられました。花道を堂々と引き揚げていく弁慶は、顔の形相がものすごい迫力でした。花道にほど近い席で、團十郎さんの迫真の演技が見られたので、二人して満足でした。

そして、もう一つ御園座初舞台の團十郎さんの息子新之助さん。甲高い透き通った声での口上は、堂々としていました。昼の部であると、新之助さん主役の「外郎売(ういろううり)」が見れたのですが、残念ながら今回は夕方の部でしたので、口上でお父さんの露払いというような感じでした。父子がそろって舞台で挨拶するのは、あまり見れるものではないでしょう。いいときに来たものだと思いました。新之助さんが、團十郎になるまで自分は生きていられるだろか、生きていたいものだと。

新世代がどんどん出てくる世の中ですね。私も、歌舞伎を定期的に見始めて10年は経ちませんので、あまりその変遷は実感できていませんが、新之助さんがお父さんと並ぶような役者になるのを見たいものだと思います。歌舞伎界は、役者の血が受け継がれるということでしょう。やはり、世襲というのは、周囲に安心と安定感をもたらすものであるように感じます。

先日、クラシック界の重鎮である小澤征爾さんがお亡くなりになられましたが、やはり若い小澤さんの指揮した音楽と、大ベテランとなられた時に指揮された音楽は違うのですよね。「軽妙・若々しさ」から「貫禄・壮麗」へという感じでしょうかね。

年齢と経験によって、人間は変わっていく、成長していくことを感じさせられる人物になっていきたいものです。