税理士は、税金と会計及び会社に関して一部法律の専門家であるとともに、「経営」に関するアドバイザーとしての仕事をしています。
経営のポイントとしては、「資金」をうまく回す、もうけを生む、「投下資本」をより大きくさせるということが考えられます。「資金」をうまく回すために、すなわち資金繰りよい経営をするために、苦心されている経営者はとても多く感じます。その原因は、借入しすぎていることにあるように思えます。借入については、返済計画に従って、金融機関との約束通りに返済していかなければなりません。貸しますよという金融機関の甘い言葉に乗って融資を受けてしまって、返済困難に陥ってしまうことも多いのです。高金利で貸している業者が、「ご利用は計画的に」というメッセージを宣伝していますが、高金利とは言えなくても、いずれ返済をしていく必要がある借入金です。慎重に、計画を立てて借りていただきたいものです。
まず第一点、「何のために借りる」のでしょうか?これを明確にしましょう。事業の「設備資金」としてでしょうか。短期的に「運転資金」が不足するから、その補填を目的とするものでしょうか。それとも、資金不足を補填するためでしょうか。
大いに売り上げ拡大→利益増大が見込めるのであれば、資金調達の一手法として新規借入もありえます。ただし、資金不足補填のためという目的では、借入は最後の手段として、万策が尽きた時の手法と考えるべきだと思っています。
資金補填ということならば、次のことを実行してみましょう。
1.必要以上に在庫をかかえていませんか?適正在庫の水準を見直しましょう。適正在庫水準になるまで、仕入れをストップする、営業努力をすることです。
2.売掛金の回収について、回収が進んでいないものはありませんか?回収努力をしていきましょう。
3.加入する生命保険などで、契約者借入を利用できるものはありませんか?比較的早く、資金調達をさせてくれますので、一時的な資金調達ということならば、利息も大きくないので勧められます。
4.活用率の低い固定資産はありませんか?売却可能であれば、売却によって資金を作りましょう。
5.支払いを延期してもらうことが可能なものがあれば、お願いしてみましょう。もちろん、数次の支払い延期は、取引先の信頼を損ねるものであるので、できるだけ避けるべきです。
上記の手段とともに、不必要な支出をしていないかを確認することも同時に行うことでしょう。
基本的には、企業規模を大きくするのに、借入を利用するということです。利益の積み上げ分、つまり自己資金だけでは、「投資の好機」を逃してしまうという場合であります。
なお、私は原則として、「投資用不動産」などを金融機関から借入することによって購入することは勧めません。国内に限れば、日本の総人口は右肩下がりであり、土地が大きく値上がりすることは考えにくいからです。新築建物も、中古となれば、評価は大きく下がります。不動産投資で、その時価が大きく下がってしまい、売るに売れなくなったという話はよく聞きます。
金融機関から多額に借入する前に、財務の専門家でもあり、金融機関からも独立した第三者である税理士にも相談しましょう!