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銚子電鉄に学ぶ事業再生方法

8月18日、経営計画策定のためのソフトウエア制作販売のMAP経営による研修会があったので、参加してきました。参加した理由は、千葉県銚子市にある「銚子電気鉄道」の代表取締役社長が、その企業立て直しに奮闘されたお話が聞きたかったからであります。さらに、社長が開業税理士でもあるとのことで、興味深く思ったからでです。

千葉県銚子市というと、千葉県の東の外れの漁業の街というイメージですよね。人口もさほど多くないのでは、さぞかし経営も苦しいだろうということが、想像できますよね。市の人口は、ピーク時から3割減少し、5万6千ということでした。こちらのほうでいう「樽見鉄道」「養老鉄道」のようなローカル線を思い浮かべましたが、それよりもさらにローカル路線である銚子電鉄線です。わずかに6キロ強の路線長のところを20分かけて走る遅さです。ですから、平均速度は時速20キロにも満たないのです。それは、車両の性能が十分ではなく最高速度時速40キロに制限されているからということです。

会社の歴史では、「親会社京成電鉄から切り離されたのち、土建屋の子会社になり、その土建屋が倒産して境地に陥り、さらに悪いことに、社長の会社財産横領が発覚、各種補助金が受けられなくなるという」ように苦難の連続があった鉄道でありました。

あまりにも経営状況が悪いローカル鉄道なので、鉄道の車掌は、「車内販売」もやり、切符の販売、改札までと幅広く仕事をやっていたようです。醤油作りがさかんな土地柄に目を付けた同社の専務が発案して「ぬれ煎餅」の製造販売を考えられたのです。試行錯誤の末、出来上がった煎餅を必死になって売り込み、鉄道事業以上の売上が上がるようになったというのです。今では、銚子電鉄は、鉄道事業会社としてというよりも、「ぬれ煎餅」を製造販売する会社として有名になっているとのことです。この研修の際、この「煎餅」が講演者より配布されていました。普通の煎餅と違い、固くないので食べる時に大きな音が出ませんので、講演中にも食べている受講者もいました。実にこれがおいしい。ちょうどいい味付け加減なのです。個包装になっているので、分けて食べやすいのもメリットでしょう。パッケージに「銚子電鉄」の文字も見られます。普通にお菓子屋さんの煎餅の味で、表記がなければ、鉄道会社が作っているなんて気が付かないでしょう。

また講演の最中も、大いに「笑い」をとられた社長さん。銚子にある調子のよい鉄道みたいなふうで、「合格祈願お守り」も出したり「お化け屋敷電車」のような催しをやったり、常日頃から目立つお調子者的な(失礼)企業行動をされているなあと。もちろん、鉄道は安全第一でしょうけどね。

現状が良くない状況であったら、改善しなければなりません。不利な環境下、いかにそれに対処していくのか、それをあきらめずに少しずつでもいい、前を向いて改善していこうという姿勢を持ち、行動を起こしていくことが大切だと思います。

経営者は、現在の会社が置かれている状況を「正確に」「タイムリー」に把握せねばなりません。そのお手伝いを私たちはしています。将来的な目標を皆さんはお持ちでしょう。その目標を達成するためには、どのような施策が必要なのでしょうか。