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私の大学時代 「税理士への道」vs「クラシック音楽」

上旬のコラムには、私の趣味のクラシック音楽との付き合いについて掲載していたのですが、「税理士」「クラシック音楽」ともに関係してくるのが大学1年の時でありました。そのころの事の回想をさせていただこうと思います。中央大学商学部会計学科に進学したのは、昭和62年4月(1987年)のことです。東京での一人暮らしに大きな夢と希望を抱いて親元である岐阜県揖斐川町を離れました。父は、私が小学校高学年くらいから「自分の後を継いで税理士になってくれ」ということをずっと言ってきました。そこで、大学に進学したからには、公認会計士受験の勉強に専念するのだと、大学合格の頃から言われてきたと思います。中央大学ですと、学内で公認会計士受験のための講座として「経理研究所」の講座が設置されていましたので、そこに入って勉強するのだと親子で決めていたのです。

ところが、大学の中の新入生歓迎の独特のムードというものは恐ろしいものです。その決意を揺るがす’集団’と出会ってしまいました。「グリークラブ」という男声合唱団でした。そう、部員は男性のみです。女性禁制というわけではないですが、「男声」の音域が普通は出せないでしょうから。キャンパスの中で、懸命に勧誘している上級生の方に出会い、高校の時に合唱やっていたから、どんなものか「一度覗いてみよう」とついていった練習室でした。やや雑然とした練習室内に40人弱ほどの部員と新入生でしたでしょうか。部の「体験」も兼ねているということで、音とりから歌詞を付けていくところまで短い曲で実際に先輩を交えながらやっていました。面食らったのがいきなり「イタリア語」の合唱曲であったこと、そして何でこうも柔らかくて暖かみのあるハーモニーなのかと初めて中に入って歌ってみて感じたのです。背筋がぞくっとする感動を覚えました。そして、先輩たちのみでの合唱も、とても美しく端正に思えました。

いえ、合唱の技術だけでない、この部の先輩たちの面倒見の良さ、ノリの良いこと、とても楽しそうにやっていて、イキイキされている様子を見ました。やっぱり男性のみというのはテレもなく賑やかでいいなあと。先の2年程度の高校での合唱は、自分自身が十分に合唱に浸ることができなかった残念で物足りない部活で不完全燃焼だったことと対比すると雲泥の差に思えました。練習見学の後で、新入生が感想と入部の意思について、全員の前でインタビューされるのですが、即日「入部します!」と言ってしまっている自分がいました。

電話で父には、「申し訳ないけど、大学のうちはグリークラブをやらせてほしい」と頼みました。相当、父からは厳しいことを言われたのですが、最終的には折れてくれました。大学1年から公認会計士受験講座をやっていたら、将来は変わっていたのであろうか、こればかりは何とも言えません。「過去」はオール善と考えながらやっていく他ありません。正式名称は、『中央大学音楽研究部グリークラブ』という公認サークルに入って活動できた4年間があったおかげで今があるようにも思えます。大学時代については、満点とは言えないけれど、「グリー」だけでなく、色んなことにチャレンジができた4年間という認識です。かといって、自分のような大学生活を息子には勧めたくはないですが(笑)。