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三谷幸喜の大河ドラマが面白い

経営者たる者は、有名な歴史上の人物から学べということがよく言われています。昨年の大河では江戸末期から昭和初期までを生きた渋沢栄一(1840 ~1931)が主人公でした。彼の教えを記した「論語と算盤」も普遍的な教訓を数多く盛り込んだ名著であると思います。今年の大河ドラマは、初めて本格武家政権を樹立した源頼朝の義理の弟、北条義時が主人公であります。私は、北条義時って誰というくらい、鎌倉時代に詳しくありません。そして私は特別に大河ドラマが好きだというわけではありません。大河で全て観たのは、毛利元就だけ。しかし現在進行中の大河ドラマは、脚本を三谷幸喜さんが作っているということもあって最高に面白いなあ、退屈しないなあと思って観ています。

今年の大河ドラマのまず表題ですが、「鎌倉殿の13人」という表題であります。当然ながら鎌倉殿=源頼朝が登場するのは間違いないですよね。13人って誰なのかという疑問が湧いてきます。歴史の教科書を紐解きますと、当時、中学で学んだ時にしっくり来なかったのが、源頼朝が創始している鎌倉幕府であるのに、いつの間にやら執権である北条ばかりに時の権力者が変わっていくということでした。まずは、頼朝の重臣に北条氏が挙げられるのは間違いないとところなのであろうと容易に想像はつきます。頼朝の妻政子(御台所)が北条家出身であり、政子の父親である時政、政子の弟である義時が大いに登場してきます。そして、北条義時が主人公の物語なのです。義時役に映画「罪の声」での大熱演が光った小栗旬さんが演じていますね。そして、その主君である鎌倉殿に大泉洋。大泉の演技はすっとぼけたようでもあり、コミカルで、頼朝はこんなにわがままであったのかというくらいの聞かん坊ぶりを発揮していたのと同時に、回が進むにつれて、策士、先駆者、カリスマ的指導者の代名詞が思い浮かぶほどのヒーローぶりも浮かぶ上がってきます。時には恨まれても冷徹になれる人物として描かれていきす。

そして、それら男性陣を取り囲む女性陣たちも印象に残ります。特に小池栄子演じる政子。男性に従順というわけでなく、時に大いに不満をぶつけて夫をイライラさせ、本気に怒らせたりします。自己主張の強い女性、まさに女帝という言葉がしっくりします。頼朝の弟の義経に菅田将暉が配されていますが、とても破天荒で型破りな振る舞いをしています。戦は抜群にうまいが、政は上手くない人物であったのでしょうか。平家追討の立役者であるのに、頼朝との仲が悪くなり、討伐の対象とされてしまうあたりを見ると不器用な生き方をしてきたのだなあとも思えます。を数多く人物が登場するが、それぞれが特徴的でキャラクターが極めて引き立っています。

生々しい合戦シーンは少なく、武士の主従関係、天皇と武士との関係性、そして女性の嫉妬、夫婦間の一悶着など、現代社会にも通じるシーンが目白押しなのです。緊迫感のある中で、コミカルな仕草やセリフが混ざるのが三谷流なのでしょう。お茶目でかわいいと感じるのも人気の秘密だと思います。

鎌倉殿の13人の英語表題が、『The 13 Lords of the Shogun』ですよね。鎌倉など出てこないのです。「将軍の13人のLords」なのですよね。きちんとLordsと言い切っていますね。和訳は主人(あるじ)なのであろうけど、’御家人’を指すのでありましょう。邦題をそのままに直訳していないところがまた興味深いのです。そして邦題は、「御家人」と言ってしまわないところに興味を惹かれる。大泉洋、小栗旬、菅田将暉の実力派俳優に、西田敏行らの大ベテランも加わる豪華さに三谷流のコミカルさ、洒落たテンポ感。小栗旬演じる義時が、頼朝に添い続けてどのように変貌していくのか、政子の女帝ぶりはいかに描かれるのか。頼朝はどのように死んでいったのか謎が多いようです。その頼朝の死について、三谷はどのように描いていくのか今から興味が尽きません。私が三谷幸喜を知ったきっかけは、映画『ラヂオの時間』でありました。あまりに面白くて見事にハマったことを思い出します。

歴史は繰り返すといわれ、歴史上起こったことは2度3度と繰り返されています。昨今の新型コロナウィルスによる「感染症」も歴史上は何度も起きたことでしょう。感染症ということでは、大河は、真実ばかりを映像にしたものではなく、創作も混じっているのでしょう。しかしながら、楽しみながら学ぶ歴史上の有名人ということでは、漫画で学べる歴史同様に、素晴らしい教材ではないでしょうか。脚本の三谷さんは、歴史を面白く楽しく見せてくれる天才だなあと感じます。映画であると『本能寺ホテル』『清須会議』『ステキな金縛り(舞台は、現代ですが歴史的要素があります)』などいずれも興味深く、コミカルさもあり、くすっと笑えます。一度お試しあれ。