毎年恒例の町の施設である地域交流センター「はなもも」で行われる子ども歌舞伎の特別公演。今年も5月3日に行ってきました。
「行く」と言っても、事務所からほんの目と鼻の先というご近所ですから、とても手軽に行けるのです。
通常は、山車(やま)の舞台上で、演じられるのですが、この日は、ホールの舞台上にて行われます。ですから、ホールの快適な環境で、観られます。伝統芸能でもあるこのイベントを応援するという意味で、夫婦で出かけています。毎年、出演者が変わっていき、上演される演目も変わるので、新鮮な気持ちで観ることができます。祭りの子ども歌舞伎は、5つの町内で持ち回りであり、今回は以前は本町通りの商店街の中央地域でとても活気のあった中町(なかまち)が当番町です。中町は、軒数も少ないので、とてもその町内だけ上演する人数は確保できないので、各方面から人数を確保しようと必死だったのがうかがえます。「池田町」より、又「中学生」まで出演者として参加しての上演でした。揖斐の子ども歌舞伎は、男の子でやりたがる子が少ないのです。出演9人が全員女子でしたが、女子だけというのはあまり記憶がありません。近隣の垂井町、長浜市が伝統を守って「女子禁制」としているのと対照的です。上演が継続されるのであれば、性別は問わないということで構わないでしょう。
私も、昭和55年(今から44年前)に子ども歌舞伎の役者で登場したのですが、出るのが嫌でたまりませんでした。しかし、町内の方々が、懸命に頼みに来られて、渋々引き受けた感じです。息子たち3人も、決して積極的に出演したいと言ったわけではなく、頼まれたので、出演したのです。スポーツ少年団での活動、習い事などもある中、子ども歌舞伎のために時間をとられてもよいと思う子ども、保護者さんも以前より少なくなったのは間違いないでしょう。これから先、やはりより広い範囲で、出演できる、出演したいという子を探していくことになるのでしょう。本当に骨の折れることであり、何とか伝統をつなぐ工夫をされている各町内の方々に敬意を払います。
祭りにつきものの「お囃子」でも、かろうじて太鼓だけは、男性が担当していましたが、あとの横笛は、女性のみで構成されて、苦心されているなあと感じます。お囃子の奏でる音楽、大枠は各町内で同じなのですが、太鼓の打ち方、若干の節回しが変わっていて興味深いところです。やはり、祭りというとお囃子の奏でる音がないとなんとなく寂しいものです。それを残響オン豊富なホールで聴く楽しみがあるのも、毎年「はなもも」に行く理由でもあります。
さて、今年の演目である「鏡山旧錦絵」ですが、中町が当番の時は、必ず演じられるています。今回は、「すじがき」をしっかり読んで頭に入れて観に行きました。今回のすじがきは、「現代風」に書かれています。草履をスリッパと言い換えているのは違和感がありましたが、親しみやすくする工夫としてはいいかもしれません。すじを頭に入れて芝居を見ると、退屈にはなりにくいと思えます。ただ、もう一歩、「字幕」でもつけるとさらに良いかもしれません。会場は、平均年齢が70歳くらいかというくらい年齢層が高かったのが残念です。もう少し、若い人にも興味を持って「歌舞伎」を味わってもらえたらいいのにと。
「女忠臣蔵」と言われているとネットで検索すると出てくる演目です。女性たちの戦いが、メインの主題です。召使いが、主人の仇討ちを果たしてあっぱれという結末ですね。敵役の「岩藤」の、非情なこと、ずるさに憎しみを感じる観客に胸のすくような思いをさせてくれるのが、主人「尾上」の従者「初」という感じでしょうか。興味惹かれる物語です。いび祭りの子ども歌舞伎は、コロナ明けから、役者だけでなく、義太夫も素人が担当するようになりましたが、年々技量が上がっていると感じます。舞台を盛り上げる、「三味線」「太夫」による歌と音楽、これも大きな要素なのだと思います。ヒロイン初の「感情の高ぶり」が見事に表現されていて、良かったですね。
今日明日は、大変な暑さになるようで、衣裳を身に付けていると、体感はかなりの高温になると思います。体調に気を配りながら、演じ切っていただけることを祈りたいと思います。私は、これからは一支援者、観客となるのですが、この催事が、「揖斐の活力の源」、「希望の星」となることを願っています。