企業ロゴ

第49回日税連公開研究討論会-税理士の絆を再認識する場

日本税理士会連合会の公開研究討論会は、すでに49回という回数を重ねました。「コロナによる中止」という年が最近あったため本来ならば50回目というのが今回だったわけです。50回というと本当に伝統がある行事なんだなあと思います。私の幼少期から引き続鋳く大会であるのですからね。愛知・名古屋での開催は、8年ぶりでした。前回は名古屋城の近くのホテルにて開催され、私は前夜、そのホテルに宿泊させていただき、そこの美味しい朝食をいただき、良い気分で発表させていただけました。「所得税の課税区分」を題材とする研究発表で、大学の図書館などにも行き調べて論文集の一部に加えていただきました。発表は、短時間のため成果の一部を要約して発表という感じでした。ですので、私が話していた時間は3分あったかどうかという感じでした。ただ、大勢集まっている税理士会員等から大きな拍手を浴びて大変うれしく、やって良かったという感慨にふけることができたイベントでした。

もう「あれ」から8年か、という感じですね。今回は、民法改正が相続に与えた影響と問題点の考察を研究課題に取り組まれて発表されていましたが、8年前に一緒に壇上で発表した数多くの仲間が、ほとんど再度登壇されているのですね。その継続ぶりに驚かされました。私も、税制改正建議に6度も関り所得、法人、資産税、地方税と駆け回ってきましたため、顔を多くの人に知られていて有難いことです。やはり長く続けるということは自分の心の支えでもあり財産ともなるのだと実感させられます。当時は一般研究部員であった部員が2回目の発表ということで、討論リーダーや進行役になっていったり、より大役を任せられていく当時の仲間をまぶしく感じました。それとともに、ほぼ変わらないメンバーの元気に勉強されている姿を見て刺激を受けました。発表テーマについては、時流に沿ったものをとりあげてくださっていました。「配偶者居住権」、「遺留分侵害額請求」に関する議論があるところの整理、その解決策について、実務にはまだまだなじみのないものであるので、大変であっただろうと想像するのですが、果敢に挑戦という感じはしました。難しい論点を対談形式で、分かりやすく図表を交えて発表され、眠くなるところ懸命に発表された会員の熱に感謝しつつ聴講しました。

その後の、指導教授2人によるご講評いただいたのですが、伊川教授は、またしても家康の「人生は」で始まる言葉を引きつつ、時にユーモアを交えながら話され、田中教授は、税理士会の当イベントに対する最大級の賛辞と言えるお話をいただき感激しました。前回もご指導いただいている先生、時に厳しい指摘もいただき、改めて「理論整然と」論文にまとめあげるとは、どのようなことかを学ばせていただけた思いをさせられたご指導でした。『この公開討論会では、事前に研究員がそれぞれ「研究勉強」を重ねて、それを研究員同士が「議論」を深めて、多くの会員の前で「討論発表」することにより、会員に知識を多く広めることができ「交流」を生む』そのようなイベントであると。

イベント最後には、懇親会がつきものですが、ホテル特製のその土地ゆかりの逸品を口に運ぶ楽しみに盛り上がる会だと思います。ある人にとっては、酒があればいいという人もおられましょうけど。立食の懇親会は、私にとってやや不便ではありましたが、東急ホテルの料理はどれも非常に美味しく、食べ過ぎてしまいました。食べるだけではなく、税理士同士の親睦を深めることも大事なので、発表された会員の労をねぎらってまわらせていただきました。よく来てくれたと歓迎の声をいただき、まだ仲間として認めていただいている絆の強さに嬉しくなります。やはり税理士は親子で引き継いでいく承継パターンが多いのです。私の属した発表チームのリーダーは、今回は発表者でなかったのですが、その息子さんが研究員となって活躍されていて、私にすすんであいさつに来られて、本当に頼もしく感じました。その他に、名札を見ると「◎◎」と書いてあったので、「お父さんも税理士ですよね?」と聞くと「はい」と答えてくれて、お父さんに世話になったことを話させてもらいましたり。

徐々に私が良く知っている役員をされていた会員のご子息が税理士に登録されてというのをよく見かけるようになりました。税理士界では、「先輩が後輩の面倒をよくみてくれる」「先輩が積極的に新しい会員に声をかけている」という良い文化があるように思います。そんな良い文化があるということを知っていただき、税理士になられる方は、積極的に税理士会の行事に参加して、溶け込んでいく方がいいと思っています。

そして、今回感動的なお話をいただけた田中先生には、お礼が言いたいと思ったところ、郡上踊りの法被をまとっておられて目立っておられたので、すぐにわかりました。私の名前は覚えておられないとは思いますが、何度も(20回以上でしょう)顔は合わせていますので、顔は覚えていただいていたように笑顔で会話させていただけました。田中治先生の論文は、時折拝読させていただいています。税法学会の重鎮の先生なのですが、税理士会員の間に入り混じって楽しそうになさっていたのは非常に印象的でした。

地元名古屋での8年ぶり開催は、とりわけ思い出深いもので、午後0時15分から始まり午後8時30分頃までたっぷりと勉強し、税理士会の良さを実感した1日でありました。3編にわたりましたが、今回のコラムは以上で終了です。ありがとうございました。(完)