2月12日(日)、約1年前から毎週のように練習をしてきたヘンデル作曲の「メサイア」の演奏会の本番でした。
私にとっては、左半身麻痺となってから初めてのステージでした。練習の時より、よく使わせていただいた揖斐川町地域交流センターはなももの大ホールです。このホール、客として何回か来ていますが、大きすぎず小さくもないサイズ。客席数800程度の収容人数で、非常に音響が良いホールであり、比較的設備も新しく、客席も座る心地の良いものが使われていて、揖斐川町のような田舎でこんなに良いホールがあるのか!と驚かれます。地域交流センター、事務所からは目と鼻の先であり、歩いてもすぐです。十二分に広い駐車場が備わっているので、もっと稼働率が上がるといいのになあと感じます。
合唱というとどうしても女性がやっているイメージではないでしょうか。今回のメサイアを歌った合唱団も例にもれず、女性は60人以上集まるのに、男性は10人に満たずで、いくら経験者が揃っているとはいえ、きついので若手プロの歌手に応援をいただきました。1人当たりの負担が大きいのですよね。メサイアは、合唱部分でいくと40分以上はありますから体力が必要なのです。
私は、メサイアを歌った経験は今回が初めてですが、合唱経験者である私でも、なかなか手ごわい曲ではありました。残念ながら、完全には歌えてはいません。メサイアは、何度も歌う人がベートーヴェン第九のように多いと聞きます。というのは何度も歌っても新たに発見があるということだと感じます。揖斐川町では、3度目のメサイアであると言います。メサイアが作曲されたのは、18世紀といいますので、300年前の曲が、今もなお歌い継がれているというのは、それほどまでにその音楽、構成力が多くの人から評価されているからであろうと思います。全曲通すと2時間半程度もかかる大曲。正直言って、よほどのクラシック音楽好きでも、つらくて途中挫折することもあり得ると思えます。音楽だけで、救世主キリストの一生を描いてしまうという途方もないことをやり遂げたヘンデルは、大天才と言わざるを得ないと思います。
それとともに、今回指揮いただいた青木洋也氏の指揮、指導ぶりも素晴らしかったです。顔でもどのような音を出してほしいのか分かりますし、指導でも卓越した歌唱能力を披露されますし、次から次に繰り出される指摘は、的を射たものばかり。今回は、指揮だけでなくて、アルト歌手でも出演されるなど、彼もやはり天才なのではないかといつも思わされます。
100人程度がステージで演奏し、それを約600人程度に聴いていただけたのではないかと思いますが、やはり聴衆がいるのといないのでは、違いますね。合唱団メンバーが主に集客したのでしょうけれど、空席が目立つ客席を前にして演奏することほど寂しいことはないものです。聴衆が多いと、それなりにプレッシャーを感じるものですが、それがまた心地よく、左半身麻痺の私が、よくも3時間近くもステージに居られたものだと正直、自分の頑張りに拍手という気持ちになりました。それとともに、約1年間苦心したこの大曲との別れかなあと感慨深いものがあり、最後の「アーメン」では、涙がこぼれ落ちそうになりました。コロナ禍で、いろんな演奏会で、「ブラボー」がなくなっていたのが、今日は久しぶりに「ブラボー」を聞いたなあと。その一員で微力ながらいれたのは、幸せなことであるなあと思ったのでした。