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鎌倉殿のフィナーレに感動!

すでに最終回から10日経ってしまいましたが、ようやく最終回をNHKオンデマンドで観ました。

この一年間、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観るのが毎週の楽しみであったので、それがついに完結して、そのフィナーレが今までとの対比するとあまりに平和的でもあり胸に刺さるものでありました。主人公北条義時(小栗旬さん)の最後の描かれ方、戦場で華々しく死ぬとか、裏切られて切り付けられるとかではなく、血生臭さは少なめであったのが良かったのかなあと。役者さんは、年をほとんどとらないのに、ドラマの中では、徐々に年を重ねていく、その変化を衣裳、メイク、所作、セリフで変えていかなければならないというのは、生易しいことではないでしょう。三浦義村役の山本耕史さんは、最終回に「じいさん」とか言われていた三浦役と、実際とのギャップがあって46歳、年の割に若いなあと思いました。

このコラム及び事務所通信でも春に書いたことでしたが、三谷さんのドラマ作りはクスっと笑える部分と、真剣にこだわりをもって作られた部分のメリハリがついているのが面白いのですよね。最終回で、義時が妻に毒を盛られて、それを飲み続けて病となるというのですが、その毒は義時の永遠のライバルである義村から入手したというくだり、フィクションのようにも思えますが、その設定も面白いですね。その義村と酒を酌み交わす場面、あまりにも義村の行動は滑稽であるとともに、ライバルに対する嫉妬心が吐露され、「北条の引き立て役としての義村」という役回りであったことに帰着するように思えました。

結局は、源氏三代将軍を引き継ぎ北条の時代を作っていった北条義時がこのお話の中心ではあったのです。義時は、自身の子である坂口健太郎演じる泰時に政治の継承をさせようとしていきますが、その継承の際の気持ちですね、これが、セリフとなって現れます。「悪いことは、この身にかぶって」から死んでいこうと。よく先代経営者は、息子には過重な負担がかからぬように引き継がせたいと、また借金は自分で片づけてということを言われますが、それらを思い起こさせるものでした。(おそらく脚本三谷さんの創造の産物でしょう)

北条政子の弟、義時を思う気持ち。弟に晩節までも汚させまいとする母性的な心情。義時の最期をみとり、義時の生涯をほめたたえる小池栄子さんの迫真の演技に泣かされました。やはり、親が子を思う気持ち、兄弟の情に寄り添った物語にするところ、型通りではあるけれども、役者さんの名演もあり心を打たれます。

義時の後継である、泰時は「争いのない新しい世」を作るということをテーマに掲げ、親が歩んだ方向とは、違うものを求めていくのですが、経営は変化への対応業という言葉が想起されます。泰時の生きる時代は、義時の生きた時代とは違うのであるから、親とは違ったやり方をとするべきなのでしょう。それが、承継というもの、なかなか経営者は、自らの成功体験、経験から離れたことはしにくいもの、それを可能にするのが、「承継」ということかもしれません。「鎌倉」という体制を保守するという命題は、泰時も同じでしょうけれど。

最終回の冒頭に、来年の大河ドラマ主人公である徳川家康が登場してきました。彼が読んでいたのが「吾妻鏡」=鎌倉幕府が書かせた鎌倉幕府の公式歴史書でした。家康は、吾妻鏡を愛読していたとされますが、その歴史から何を家康が学んだのか。来年の「どうする家康」も、また楽しみたいと思います。