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何を基準に大学選びをするか?約40年前の私の「納得の選択」。

大学受験の季節になりますと、毎年のように思い出す光景があります。教室の空気、駅のホーム、そして試験会場の独特の静けさです。岐阜の進学校では、国公立大学が進路の中心になりやすく、「合格したら進学する」という雰囲気も強いように感じます。分かりやすさがあり、家計面でも合理性があるため、保護者の方にとっても納得しやすい面があるのだと思います。

 

一方で、受験の実態はそれほど単純ではありません。国公立一本ですと日程や結果の振れ幅が大きくなりがちで、実際には私立大学を複数併願して「合格を確保する」という動きが一般的です。これは決して悪いことではなく、むしろ受験期の現実的な戦略だと思います。

 

そして、最後に必ず訪れるのが「辞退」という判断です。私立大学に複数合格したとしても、最終的には進学先を一つに絞ることになります。合格証書の数よりも、「4年間をどこで過ごすか」という視点が前に出てきます。通学のしやすさ、学費、校風、学びの中身、卒業後の見通しなど、現実的な要素を改めて比較することになるからです。

 

私自身も、まさにそのような受験を経験しました。明治大学と中央大学、そして神奈川大学に合格しました。世間的には「よく頑張りましたね」と言っていただける結果だったのではないかと思います。しかし当時、進学校の空気の中では国公立大学が基準になりやすく、私立大学を本命にすることに、どこか肩身の狭さを感じる場面もありました。国公立大学の合格は、努力の物語として共有されやすい一方で、私立大学は(難易度に関わらず)その枠組みから外れて見られてしまうことがあるのかもしれません。

 

ただ、大学選びでいちばん大切なのは、周囲の空気よりも「本人の納得」だと、今では思っております。私は最終的に中央大学へ進学しました。理由は、商学部で会計を学べること、そしてキャンパス環境でした。試験会場の印象は今もよく覚えています。茶色のレンガタイルの落ち着き、自然の気配、広い空間。受験当日は不思議と気持ちが整い、落ち着いて臨めた感覚がありました。結果として、大学生活は自分なりに「95点」と言えるほど充実していました。周囲の友人からも、「別の大学に行きたかった」という話はあまり聞きませんでした。

 

受験は学力勝負であると同時に、意思決定の訓練でもあるように感じます。「どこに受かるか」も大切ですが、それ以上に「どこに進むか」が、その後の4年間を大きく左右します。その瞬間には、本人の性格、ご家庭の価値観、生活の現実がすべて反映されます。だからこそ、受験生の皆さま、そして保護者の皆さまには、世間の序列や周囲の雰囲気に引っ張られすぎず、最後は「納得して選ぶ」ことを大切にしていただきたいと思います。

 

偏差値やブランドも参考にはなりますが、最終的に日々を支えるのは「自分で決めた」という手応えです。納得して選んだ大学は、学び方も、人との出会い方も、生活の姿勢も変えてくれます。受験は短い期間ですが、その先は長い時間が続きます。受験の季節だからこそ、改めてそのことをお伝えしたいと思います。