石破総理誕生から、ろくに国政について議論もなされずに解散を強行されるということで、国民が疎外感を覚えてしまったのではないかと思えます。石破総理で良いのかどうかは直接的には国民が手を下すことはできません。解散の時期も、確かに総理に決定権限があるのですが、総理になったばかりで、施政方針を表明しただけですので、何も実行せずに解散してしまうのでは、石破総理の政治実績など評価できないことでした。ですから、投票率も低くなるのは当然でしょう。10人に4人も投票しないのは、政治に期待できない、信頼できないという方が多いからでしょう。政治を身近にする情報をより手の届くところに置くというのは大事なことに思えます。
投票の判断材料の多くは、岸田自公政権が進めてきた政策の是非であると思います。これについて、「給料を上げる」努力をするというのは、よく聞こえてきました。これは、これで賛同できる話です。ところが、それを上回って、物価が上がっていってしまう、消費税、社会保険料といったものは、どんどんアップされる。これでは、生活が成り立たない、やっていけないという痛烈な庶民の声を政治は受け止めなければならないということではないでしょうか。今回の選挙の1つの争点であった「政治とカネ」の問題。こんなこと、何度やっているのでしょうか。「ロッキード事件」、「リクルート事件」というのがあって、そのたびに政権与党は国民からバッシングを受けてきたのにもかかわらず、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」ということでしょうか。選挙というみそぎが、あるたびに、かぶとの緒を引き締めなおし、出直すという謙虚さが必要なのではないでしょうか。自分たちのお金のことを自分たちで決めるから、大甘になっているのではないでしょうか。政治資金に関することは、専門的な機関に委ねていくべきではないでしょうか。
岸田政権の国民向けの政策に定額減税がありました。定額減税は、一時的に国民の懐が潤うことにはなります。しかし、給与支払いをする「企業の手を煩わすもの」になっています。大雑把にいうと一人4万円の減税(高所得者はなし)をというだけでは、分かりよいものの、なんだか後から注意書きが数多く加わってくるもので、煩雑さがあるものです。こんなことやるくらいならば、給付のほうがよほど、簡単なのではと思わされます。
税制面で、声高に具体的な政策を訴えておられた政党がありました。非常にわかりやすい切り口であり、賛成できます。確かに、基礎控除と給与所得控除を足し合わせたものは、38万円プラス65万円が48万円プラス55万円に変わっただけで103万は変化していないのです。これ、私が税理士業界に入ってからまったくかわっていません。すなわち25年以上変わっていないのです。この間デフレで、物価が上がっていなかったのはありますが、最近は物価があがり、最低賃金があがったのですから、103万円では、就業時間を調整して税金がかからないようにします。「扶養の範囲内」という問題ですね。就業調整されて困るのは、中小企業の店主です。確かに、この政党の「103万円の壁」を取り払って、大幅に増額するというのは、正論です。本来ならば、与党が率先してやるべきところを、この政党が重点政策に掲げられて、大きく支持を増やされたのは注目に値することでした。
自公で、大きく過半数を超えた議席があった時代が終わり、野党では、大きく議席数を増やした党もありましたが、いずれも緊張感のある面持ちであったのが印象的でした。そんな緊張感を感じた国民が、「この選挙結果で良かった」と思ったのではないでしょうか。多党連立政権や、基本政策が違った政党同士の数合わせの連立政権は、非常に不安定であり、安易に連立連立というようにやるのは、政治史を見ると慎重であるべきです。この国が、本当に良い国、住みよい国になるように与野党対立でなく、お互いに英知を出していただけたらと思います。
もちろん、国民は、政治に関心を持ち続けることが大切でしょう。当たり前に18歳以上のすべての国民が選挙権を得たのではなく、長い間かかって国民が勝ち取ってきたわけですからね。権利を無駄にしてはいけないと思います。