経営者は、できあがった決算書がどのような意味があるか理解して、そこから自社の課題の発見につなげていただくことが重要です。そして可能ならば、どのように決算書が作成されるかのかについて興味を持つと、さらに決算書がさらに身近になります。決算書は、「簿記」というルールに基づいて作成します。みなさんは、“売上を計上”した、物を“仕入れた”という事象に注目する方が多いと思います。しかし、「簿記」の仕組みでは、売上が計上されたから、「どうなった」ということを記録することができるのです。それを取引の二面性と言ったりしますが、「その二面性を必ず記帳する」というのが(複式)簿記です。先ほどの「売上があがったからどうなった?」の「どうなった」の方も記帳していくのですね。売上を計上できたから、その結果、売掛金が増えたとか、預金が増えたとか、そういうことです。簿記では,①売上増②売掛金増または預金増という二つの面の記録を「集積」していきます。その結果として、最終的に決算書ができあがります。
簿記のルールに従った記帳とともに、平成からは、その取引は消費税がかかるのか、かからないのかが加わり、近年の税制改正で、その税率は10%か8%か軽減の8%かという判定が加わりました。経理には消費税の知識が必須の時代となってきています。
会計と税は、関係性が深いので、私たち税理士事務所が、お客様方に経理の知識を教授するというのは、理にかなったことです。そのために、私たちが存在するわけですから、積極的に利用してください。
さて、私たちは融資に関する相談を受けることがあります。企業が、成長発展していくには、資金が必要ではないですか。その融資を受ける際に、決算書を提出するように金融機関から求められますね。そこで、金融機関から借りるので決算書を見栄え良くしてくださいと要請されることもあります。故意に利益を上積みする「粉飾」をしたがる人がいます。絶対にやってはいけません。粉飾を一度やってしまうと、続けて粉飾することになる場合が多いのです。元に戻すのは、至難の業です。
会計には、「一定のルール」が存在します。これを守らなければ、決算書を誤って読んでしまうことになります。粉飾をしてはいけないのは、「前期との業績比較」や「同業他社との業績比較」を見誤ってしまうからでもあります。それとともに、金融機関に虚偽の報告をすることにもなるからです。もちろん、税金を逃れるために売上除外するのは論外です。利益が過大でも過少でもダメと言うことです。そうならないように、私たちは、お客様に助言する義務があります。金融機関には、正しい情報が伝わるように決算書などを作成したいものです。その点、当事務所は、法人のお客様には「茶色の美麗な合皮の表紙」の中に綴った申告書、決算書をご用意しています。その記載についても、記載不足にならぬようにしています。皆様は、当事務所決算説明を受けていただき、ご自身で金融機関への決算報告を行えるようにしていきましょう。