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第49回日税連公開研究討論会ーミュンヘン税理士会が初参加

10月13日金曜日に名古屋市の名古屋東急ホテルで行われた日税連の公開研究討論会に参加してきました。昨年は、東京で行われて、現地参加したので、2年連続です。もう私の中では、年中行事のうちの一つと言えます。特に今年は地元の名古屋開催でもあり、以前から気にしていて楽しみにしていました。昨年は、あいにくの悪天候で、風も冷たく吹いていた東京でしたが、今年の名古屋では、名古屋駅から東急ホテルのある栄まで歩くと額から汗が。歩き回るにはまずまず良いコンディションでした。昨年あったコロナ検査キットは、当然なくなり、会場もマスク姿もほとんど見られなくなりました。何より今回の目玉と思ったのは、ドイツ・ミュンヘン税理士会の方が参加されての「日独税制比較」ということが行われたことでした。法律については、フランス法ドイツ法の影響を強く受けてきた日本ですが、税理士という制度が社会的に広く認知されているのは先進諸国ではドイツということなのです。冒頭の開会式で、ミュンヘン税理士会の代表の方がご挨拶されたのですが、日本の経済的繁栄について称賛されていたのですが、当然ながらドイツ語でのスピーチであったので「イン ドイチュラント」=ドイツにおいてはという言葉くらいしか耳に入ってきませんでした。ドイツ語らしい音というのは分かるのですが、聞いて耳に残り意味が分かるというレベルには全く到達できません。ドイツ語は、大学の二年間、一般教養で習ったのと、グリークラブ(男声合唱)でドイツ語の歌を歌ったくらいですから。

ドイツという国にも大変親近感を覚えています。高校1年の時、イギリスにてホームステイした際に、ドイツ人の年配の夫婦に親切にしてもらった記憶があったので。イギリスでの体験は貴重だったなあとドイツ人を見ると思いだします。イギリスは、ヨーロッパの一部でもあり、ヨーロッパ各国から語学研修に来ていました。中でもイタリア、スペイン、ドイツからの人々と一緒であったのです。クラス分けテストで、「very bad」(これは聞き取れました)という成績だったので、一番初歩的なクラスに分けられ、他国の人と話せなかったなあという思いしかありません。各国の生徒の特徴はあったのですが、ぎこちない英語で話すのも難しいような。やはり、言葉の壁って大きいものです。代表の方の言葉は、日本語字幕つきでしたが、やはりそのニュアンスはドイツ語のまま理解できる越したことはないと思います。でも、外国語の習得は難しいものです。大学2年まで英語をやったのに、いざ話そうとしても話せないですね。

ミュンヘンからの訪日団が、初めて「公開研」に参加されたのは大変意義深いことであったと思うのですが、意見交換と言うには、ドイツ側から質問の投げかけというのがなく、一方的に名古屋会からの疑問に答えるという形式なのが、やや違和感ありでした。ただ、全国的な税理士会のイベントで名古屋会と以前から友好関係を継続させているミュンヘン会を招待できたことは、画期的な出来事であると思っています。海外の税理士会と交互交流している会は、名古屋会以外にあるかどうか不明ですが、やはり税制も他国の優れた制度より学ぶことも大変大事なことであると思います。

ドイツでの「税理士の役割」というパワーポイント資料を引用させていただくと、「税理士は重要な社会インフラであり、ライフラインに関わる重要な職業であると認識されている」と。従って、コロナによる規制を受けずに働くことが要請され、税理士の活躍で大きな社会的混乱を招くことなくコロナに対処できたという側面もあるようでした。それは、税理士が中小企業の給与計算を担っていることから、給与の支給が遅滞する現象は少なかったことが具体的に明かされた。もちろん、日本でも税理士が担ってきた各種支援金受給の申請手続きもドイツでも税理士が担っているという話でした。私の大学時代の指導教授である富岡先生もドイツ語をたくさん用いられていました。税務貸借対照表=シュトイヤビランツ、商事貸借対照表=ハンデルスビランツなどという言葉はまだ頭に残っています。TKC創業者である故飯塚毅氏も、現TKC全国会会長坂本氏もドイツ語を数多く掲載した図書を発行しています。やはり、ドイツに多くを学んできた歴史があるように思っています。

私にとっては、ドイツ音楽も暮らしの一部です。ブラームス、バッハ、ベートーヴェン、という三巨頭はじめ、何度聴いてもあきない音楽が山ほどあります。やはり、日本人の良さは、他国の素晴らしい点をどんどん認めて取り入れているということでしょう。税理士も、他国に倣ってというのが数多くありましょう。また、アジアにおける先進国としてアジア諸国に日本の税制度の優れた点を発信していくことも大事なのではないかと考えています。(後編に続きます)