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3/28大阪での演奏会 ミッキーのラストイヤー

3月のほとんど最終日に近く平日でしたが、こちらは昨年7月の振替公演でした。本人は、自分のことをミッキーと呼んでもらいたいようですので、ミッキーとしているのですが、もちろんディズニーのキャラクタである「ミッキー」とは何ら関係がありません。ベテラン指揮者である井上道義氏のことです。昨年も、名フィル演奏会で井上道義さんの指揮で聴いた日がありました。やはり、今年引退を宣言している指揮者ですから、観に行きたい、最後の雄姿を目に焼き付けておきたいと思うものです。3月の初旬に豊田市で名フィルとのラストを飾られていたのですが、とても忙しくて行く余裕がありませんでした。チケットは売り切れだったようです。そう、井上氏の公演には、「カウントダウン」が意識されているからでしょう、毎回売り切れになっているように思います。なかなか国内のオーケストラで、チケットが売り切れることはないのに。

今回は、大阪フィルとの共演です。大阪フィルは、井上氏との関係性が強いからなのか、カウントダウンの演奏会が私の知る限りでは4回ありました。そして、その第1回を聴きに行く予定でした。しかし、井上氏ご本人の体調の都合で、公演が延期となり3月28日になり、2回よりも後まわしになるは、3回との間隔がわずかに8日になるわで企画される大阪フィルさんも大変だったことだと思います。そうです、これを書いている3日後にカウントダウン3が開催されるのですね。これもまた、ものすごく興味を惹かれるプログラムで、行きたいと思わされるものです。ミッキー曰く「すべての曲にパイプオルガンが使われる」ということでした。最後のサンサーンスの交響曲は、題名もまた「オルガン付き」とされていますよね。敬虔な祈りをささげるような音楽でもあるのですと、ミッキーは解説していました。ぜひ、ご来場をということで演奏会を閉じられていました。

この日のプログラムは、大阪ザ・シンフォニー・ホールでのロシアンプログラム、チャイコフスキーとショスタコーヴィッチ。小曽根真さんの弾くピアノ協奏曲第2番のスリリングな管弦楽とピアノとの競演、ミッキーが指揮棒を指揮台に下して美しく奏でられる第二楽章、引き続くリズミカルで、楽しげな第三楽章という感じで、ショスタコーヴィッチには絶対的自信を持つミッキーと小曽根さんの胸のすくような演奏が展開されて、拍手喝さいでした。小曽根さんも「ミッキー」と呼び掛けていらして、最後の競演を心をこめて演奏されたという感じが伝わってきました。小曽根さんのやや長いアンコールも聴けて夢心地でありました。

メインにすえられたチャイコフスキーの交響曲第4番。私が初めてオーケストラで聴いた時のメイン。たぶん、それ以来かな。冒頭で、吹奏される金管楽器群のファンファーレとも思える音楽、優しく奏でられる木管楽器の優美な音楽、神秘的な雰囲気を醸し出す弦楽器の旋律、やはりチャイコフスキーもいいなあと思わされます。第四楽章終盤の盛り上がりの凄まじさは、鳥肌ものでしたし、第2楽章の物がなしくも美しいメロディが木管、弦楽とうたわれ紡がれる構成も涙を誘う感じ。第3楽章のピチカートで聴かせる音楽も普段は、聴きなれないもので新鮮。シンフォニーホールの圧倒的な美しい残響もあって、これまた耳が喜ぶものでした。とにかく、全編にわたって聴きどころがあり、素晴らしかったように思います。

井上道義氏、2時間近い演奏会にもかかわらず、立って指揮されていましたし、今年指揮生活を引退される人には思えなかったです。音楽に対する情熱がほとばしっていたように感じられました。私の席は、わざわざミッキーの顔、指揮ぶりが見られるステージの指揮者を右下に見られる席にしました。ほとんどの時間、ミッキーの指揮姿を目に焼き付けておこうと、目を皿のようにしていました。あと9か月、ミッキー、がんばってくださいね。