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ベートーヴェンの偉大さを味わう9月21日「皇帝」「田園」

朝の気温も低くなってきて、夏が終わったのを実感させてくれるようになってきました。

昔から、「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、本当にその通りだと思います。

私が、脳卒中で入院した日が9月9日。まだ暑かったということが思い出されます。あれから6年経ちます。

昨年までは、MRIで脳の検査を毎年受けていたのですが、今年からは検査を受けなくなりました。毎年1度の行事のようなものであったのですが、脳神経外科の先生から、検査はどちらでもいいよと言われたので、今年は、7年ぶりに脳の検査をしない年になりました。

とはいっても、一度麻痺した手足は、元通りになるのは困難なのでしょう。両手でキーボードをたたくことができず、ゆっくりとしたペースでしか文字入力ができない状態です。これが、一番業務上で支障が大きいことかもしれません。あとは、本のページをめくることでしょうか。左手が使えないのは、日常生活で不便さを大いに感じることです。足は、なんとか歩行はできますので、電車に乗る、バスに乗る、車の運転は、気を付けつつできています。

暑い夏を過ぎて、行楽シーズンということで、「足」を使うシーンも増えてきました。

9月21日は、サラマンカホールでの演奏会を聴いてきました。「オーケストラアンサンブル金沢」の岐阜での演奏会です。最近は、チケットが完売となる公演が増えてきたように思います。サラマンカホールは、わずかに700席程度のホールなのだからでしょう。この日も、当日券はなし。日曜の午後を、ベートーヴェンの人気曲で優雅にひとときをと思われるご婦人方がたくさん詰めかけていたように思います。残念ながら、若い人は少なく、入場者の平均年齢は70歳くらいではないかと思われます。

全席指定席であるのに、長蛇の列。アトリウム空間で、雨風は防げるのだけど、なぜこんなに行列なのかと思っていたら、開演前に弦楽四重奏のロビーコンサートが開催されるからだったのでしょう。入場するとすぐに、コンサートが始まりました。天井の高いスペースで聴く弦楽四重奏、ロビーのカーペットの雰囲気も合わせて、すごく優雅な気分になれて良いものです。

さて、今回の席は、真ん中よりやや上方の左通路側席。左端の席でも、ステージはよく見えます。さほど、角度があるようには思いませんでした。小ぢんまりとしたホールならではでしょう。8月に行った演奏会は、ステージに200人くらいいるのではというくらいでしたが、今回のオーケストラは、40人ほどと小型の管弦楽団。

オーケストラ・アンサンブル金沢、名前の通り、金沢を本拠地にしたオーケストラではあるものの、金沢の都市規模、市場規模を考えると、遠征も増やすべきということでしょう。名古屋で、毎年のように演奏会を開催しています。今回は、岐阜市のサラマンカホールに来てくれました。以前、名古屋でこのオーケストラを聴いたことはあったのですが、弦楽器の編成が小さいので、弦楽器の迫力不足をたびたび感じました。それは、個性として受け入れるべきかもしれませんね。

この日のベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」、「田園」交響曲は、いずれも、大音響で、鳴らす曲ではないので、「サラマンカ」に相性が良かったようにも思えます。ソロのトム・ボローさんは、若き長身のピアニスト。初来日でしたかね、流れるような美しいピアノの音色。弱音での繊細さが非常に美しく、歌いたくなるようなピアノの調べを堪能できたと思いました。田園は、木管楽器群の柔らかな音色に心を奪われるものであったし、指揮の広上淳一氏の踊るような指揮も曲調にフィットしていたように感じます。歌心のある極めて流れるような美しさをたたえたもので、音によって「自然」の美しさ、人間の心情を表現したベートーヴェンの傑作を楽しめました。それにしても、ベートーヴェンの紡ぐメロディは、耳になじみ、力強く、勇ましく、勇気づけられ、時に気持ちを癒してくれるものだなあと感じさせてくれました。

音楽は、だれでも共感しやすいものですね。これから「芸術の秋」、耳から入る「美」、目から入る「美」、口から入る「美」を楽しめる季節になってきたことを喜びたいものです。