11月は、これで生演奏会3度目。3度目は、兵庫県立文化センター大ホールでのメサイア演奏会。
2月にメサイア全曲演奏会に地元で合唱団の一員として参加しているので、だいたいの曲の内容は分かっています。とはいっても、今回のは聴衆としてヘンデルの作ったキリスト像を味わいたいと思いました。12月は、演奏会に行く予定はしていないので、今年はこれが最後の生演奏会。先月も文化センターには行ったのですが、ホント新しくて木目の美しい美しいホールです。そして、足の悪い人にも十分に配慮された階段の取り方であることに素晴らしいと感じる。そして、クロークも比較的使いやすいところに位置しているのも便利です。すっかりこのホールのとりこになっている感じがします。
アクセスもとても良いのです。阪急の大阪梅田から特急2つ目の西宮北口駅から徒歩で、ペデストリアンデッキでつながっていて、まったく階段段差がないので、理想形と言っていいです。私の場合、JRの大阪駅で乗り換えしたくないために、京都よりのJR高槻駅で降車しました。高槻駅から徒歩8分ほどで阪急の高槻市駅なのです。雨が降ったら、嫌な乗り換えかもしれませんが、雨の心配がないようなら、高槻から高槻市の間にある飲食店、店舗を眺めながら移動するのも大変楽しいのです。高槻市から大阪梅田方面へは特急で3番目の停車駅十三(じゅうそう)乗り換え、今度は神戸方面で特急1番目停車の西宮北口駅下車とスムーズに行けます。十三駅にバウムクーヘン専門店の店舗があるのですが、これを買って食べましたが、休憩の合間にちょうどいいお菓子でした。
話は戻って、古楽の愉しみと題して、バロックバイオリンなど古楽器を用いた管弦楽団アントネッロの伴奏で、合唱、声楽ソロという構成。指揮者は濱田芳通さん。演奏の出来不出来は、指揮者次第であると思いますが、濱田さんの演奏に接するのは初でしたが、あらかじめ目にしていた演奏会公報のチラシを見ると、一風変わった斬新なメサイアが聴かれそうであるということ、楽しみに来場しました。会場で配られているプログラムは、A4 版6ページとかなり本格的なもの。そのプログラムに指揮者濱田さんの演奏者ノートが。専門的な用語も多くて十分に理解できなかったけれど、トランペットが鳴り響いてというところに興味があったのですね。やはり、ラッパが鳴ることによる華やかさの演出ができますよね。作曲者ヘンデルは、うまくトランペットを利用して、キリストの偉大さを表現しているかのように思います。
おー、普通と違うなあと思ったのが、通常であると声楽ソロ歌手は、ずっと指揮者の隣で歌い続けるということですが、今回は違いました。合唱しているメンバーが代わる代わる前に歩いて出てきて、ソロのパートを歌っていくということでした。確かに、それぞれのパートが特定の歌手によって演奏されなければならないわけではないですからね。しかし、ソロパートは、当然ながら難易度が高いのです。ですが、それぞれの歌手が十分に技術があるのですね。だから、そんなこともできる。個人技も、合唱もできるメンバーが揃ているとということです。人数としては、合計17人の合唱。うち女声ソプラノ5人、あとは12人の男声。カウンターテノール(アルト)を用いて、合唱されたのはなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。確かに、アルトパートをカウンタテノールに置き換えたのは、サウンドに柔らかみを加えてさらに美しく感じさせてくれました。
2月にステージで演奏した体験から、合唱のバスパートばかりが耳に入ってきます。バスパートには、ほとんど同じ音でオーケストラも寄り添ってくれるので、より耳に入るのでしょう。あと今回の字幕は、日本語訳が右に、左に英語が表示されました。その字幕を読んでいるとよりメサイアの伝えたい内容が分かります。よりメサイアのストーリーが頭に入ってくるのです。さらに、キリストの降誕からキリストの受けてきた苦しみ、そしてキリストの復活が味わい深く、その美しいメロディとともに、心を打ちました。
指揮者が途中、客席側に向いてリコーダーを演奏したり、変化に富んだステージで、午後3時開演午後6時終演のこの演奏会はまったく長くは感じませんでした。今回は、空席がやや目立っていましたし、観客の年齢層もとても高かったように思いました。とても満足度の高い、よく聞かれるメサイアの演奏とは相当趣の違う演奏であったと思います。
ヘンデルのメサイアも、年末に聴く音楽にふさわしいのではと思います。2023年は、ヘンデルのメサイアのすばらしさを体感できた年でした。何度も歌い、何度も鑑賞するのにふさわしい名曲だからこそ、多くの人々に愛されるのでしょう。さらに多くの人にこの曲を聴いてもらいたいと願います。